8月8日のコンサートを終えて

8月8日、先週の木曜日に、「夜のひとときクラシック」第2回が無事に終わりました。6月にも増して多くのお客様にいらしていただき、充実した時間を持てましたことを、心から感謝いたします。

毎日作品と付き合っていると、もちろん自分の解釈が生育するのですが、本番のステージにかけてそれを確かめてみると、その解釈に確信を持てることもあるし、逆にまた新たな視点を得ることもあって、作品との距離のとりかたも微妙に変化します。人は夜寝ている間に夢を見て、自分の気になることを反芻し心のバランスをとる作業を行っているようですが、それに似ているかもしれません。作品に対する立ち位置を探しながら、無意識な微調整をしているのかな、と思います。

私は、昨日正しいと思えたことを、今日になるとバーンとひっくり返して新たに見直す癖があるので、細かいことでいえば、指づかいにしても、フレージング(音楽の息づかい)にしても、昨日の自分の結論を信用しないところから毎日の作業が始まりますし、大きなことについてもしかりです。自分が確信したことについて、「そんなこと言ってるけど、本当にそうなの?」という具合です。これは、自分で付き合うのにも結構手がかかりますし、結局はあちこちにぶつかった挙句に元の結論に戻ることもしばしばですが、常にその作業をしていないと落ち着かないのです。アリが巣をつくるとか蜂が蜜をあつめるとか、そういう範疇に入ることのように思っています。

ラヴェルの鏡を弾くのは10年ぶりで、刺激的でした。まだ考えが及んでいない領域があるなあ、どうすれば辿りつけるか?などと考えているうちに、もう1週間以上もたってしまいました。これから、10月以降のプログラムに向けて少しずつ準備を進めて行きます。今後ともよろしくお願いいたします。

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